「トモダチの話なんなのですけど、かれこれ4年近く仕事仲間のオンナに片想いしてるらしんなのですよ」
ふ~ん、友人の話ねぇ、私の話では無いんだ……と想いつつ、ふむふむとうなずきながら聞いていました。
「片想いのあいての女には、彼氏がいたんなのですけど、最近別れたみたいなんなのですよね。それで、これはチャンスかもしれ無いと思って、ここいらへんで気持ちをハッキリ伝えることにしたんなのです」「うんうん」「いきなり『スキなのです』とか『付き合って頂戴』なんていうと、彼女もビックリするじゃ無いなのですか。だから、まずは伏線をはってみることにしました。ちょうど、出張でスイスに行く機会があったので、おみやげを買って帰ることにしたんなのです。会社の他の同僚に渡すお菓子的なおみやげとは別に、明らかに彼女だけ特別扱いのちょっときばったおみやげを渡すことにしたんなのです」「うんうん」「そうすれば、彼女のほうも『なんで私だけ、こんなにいいものを? 特別扱い?』みたいな感じで、好意に気付いてくれるんじゃ無いかと思って」「そうだねぇ……」「で、奮発して、彼女にだけ腕時計(ス○ォッチ)を買って、会社で渡したんなのですけど、笑顔で『うわぁ、どうもありがとう』って言われて、何となくスルーされてしまったと言うか。それっきりなんなのですよね」
Hくんいわく(やっぱり、友人の話ではなかったようなのです)、オフィスでカノジョにだけ特別なおみやげを買ってプレゼントしたからには、カノジョのほうから、
「おみやげのお礼がしたいから、今度飲みに行かない?」
と誘われたりする → いい雰囲気になる → なんとなく好意が伝わる。
けれども、カノジョからは、「うわぁ、どうもありがとう」以来、特に其れ以上のお礼のことばも、何らかのリ行動もありません。
この段階で、(もとはいえて、私のこと好き? 好きとは言わなくても好意は持ってくれてるのかも)と気付いたとしても、
「えー、困るわ。付き合え無い」と断ったら、お付き合いを申し込まれてもい無いのに、断りを入れるおマヌケな女になってしまいます。
Hくんがかんがえていたように、
「お礼に飲みに」
なんて誘ったら、軽い女と見られるのでは無いか? 自分のきもちがバレバレになってしまうのでは無いか? そもそも、好意を持たれているのかもというのも、自分の勝手な想像にすぎ無い可能性も有るし……と、あいてをスキだからこそ、悩み、とまどい、不安になってしまうはずなのです。
社内男女間柄のリスクや、勝手な想い込みでハジをかいたり、大失恋した場合の恐怖なんかも、想像してしまうことと想われます。
カノジョが次に旅行をする機会が半年、1年先だったら、その間も片想いは何一つ進展せず、そのままの状態でほったらかしになるばかりなのです。